本を読むことでたくさんの知識が得られる。 また、お金を払ってスポーツジムに通えば、体力をつけることができる。
結局、自分を高めるためにはお金が必要になってくるのだ。 もちろん、お金さえあればいいというものでもない。
時間も必要である。 しかし、この時間もお金で買うことができるといえるだろう。
家に帰るときに、特急電車に乗れば、時間を短縮することができる。 また、セミナーや勉強会に参加すれば、独学で学ぶよりも効率的に知識が得られるはずだ。
このように、お金を効果的に使うことで、移動時間や技術や知識の習得時間を短縮することができるのだ。 つまり、「仕事ができる」ようになることで、お金と時間が同時に手に入るのだ。
こうして手に入れたお金と時間を自分を高めるために使えば、さらに仕事ができるようになる。 そうすれば、さらに多くのお金と時間が手に入る。
効率的・生産的に仕事をこなすことで、お金と時間が生まれ、それらを自己錬磨のために使う――。 こうしたサイクルができ上がれば、さらに人生は有意義なものになってくる。
「自分の一生のなかの今日一日」と考えるだけで「ライフ」という言葉がある。 この言葉には「生命」「人生」「生活」という三つの意味がある。

毎日の「生活」の積み重ねが「人生」となり、さらにそれは「生命」ながっていく。 つまりライフとは、「人間の一生の時間軸」を表わしている言葉といえる。
一秒一秒のつながりが、一分となり一時間となり、さらには一日となり一年となる。 人間の一生とは、こうした時間の連なりにより形づくられていくものなのだ。
私はメールマガジンやブログなどで自分の行動を発信しているが、それを見た人から、あれだけの仕事をこなしながらさまざまなところへ出かけていらっしゃいますね、とよくいわれる。 それはスケジューリングの問題だ。
自分で自分の時間を組み立てているから、多くのことを効率的にこなせる。 「忙しい」が口グセの人は、時間に対する意識を見直してみるといい。
案外、自分自身の判断で時間を有効に使わず、周囲の都合に合わせて振りまわされていることに気づくのではないだろうか。 「今日も生涯の一日なり」これは福沢諭吉の言葉である。
生涯とは「人の一生」のことだが、「生涯」の涯とは、果てヘ断崖のことである。 いまこの日まで生きてきたが、明日はわからない。
今日の先は、断崖絶壁である。 人の命には限りがあり、落ちていく日まで、つねに崖っぷちで生き続けていく。
それが「生涯」なのである。 そう考えると、「今日も生涯の一日なり」という言葉に込められた意味がより理解できるはずだ。

数年前、私の郷里である大分県・中津市にある福沢諭吉記念館に足を運んだ際、この言葉に出会った。 そこで、非常に大きなインスピレーションを受けた私は、この言葉が記された色紙を手に入れて、いまも勤務する大学の研究室に飾っている。
そしてそれを毎日眺めては自分自身に言い聞かせている。 これは、生涯、一生という長い時間軸のなかで、今日一日を生きることを決意した福沢諭吉の強い気持ちが感じられる言葉である。
おそらく、福沢諭吉は、何気ない毎日でも「生涯の一日」だと考えて、大切に過ごしていたのではないかと、私は考える。 あるいは、こんな一日でいいのかと、反省を込めながら、毎日を過ごしていたのかもしれない。
これは、私が考える「ライフ」の概念と、とてもよく似ている。 「生命」という観点から考えると、それは自分ひとりで完結させられるものではない。
自分を生んで育ててくれた父母、さらには祖父や祖母、さらにさかのれんめんぼり先祖代々まで、連綿と続くものが「生命」だ。 そして、いずれ自分の子どもたちや孫につながっていく――。
「ライフ」とは、そういったつながりと考えられる。 そうすると、私たちは、自分自身のルーツである先祖も含めた長い歴史のなかで、自分自身の一生の今日一日を考えなければならないことになる。

そう考えると、くだらないことで時間を無駄には使えなくなる。 「生命」「人生」「生活」を意識した生活を送る。
つまり、人生を有意義に過ごすためには、ライフ・コンシャスで生きるべきではないかと考えている。 明治維新の礎を築いた高杉晋作は「人生の大半は雑用である」といっている。
高杉晋作にしてそうなのだから、私たちの人生は雑用ばかりの人生といえるだろう。 しかし、だからこそ、ライフ・コンシャスで生きなければ、有意義な人生を送ることなどできない。
このライフ・コンシヤスの意識が生まれると、誰もがつねに「いまのままで一生が終わってもいいのか」と思いながら毎日を過ごすようになる。 とはいえ、毎日の生活をそう簡単に変えることはできない。
それは、緩やかな坂をのぼるように、徐々に変化していくものである。 しかし、このとき生活を変えるという点を「意識」することが大事だ。
筋力トレーニングやダイエットにおいても、鍛えているところ、やせたい部分を意識しながら行なうと、より効果が高まるといわれる。 いわゆるボディ・コンシヤスである。
女優がきれいなのは、周囲から見られているからだといわれる。 こうしたボディ・コンシヤスやフェイス・コンシャスも大事だが、やはり有意義な人生を送るためにはライフ・コンシヤスが欠かせない。
自己実現もそれとまったく同じである。 まずは、自分の人生をこうしたいという具体的な目標を持って、それを意識することから、すべては始まる。
極端な話、意識した達成したも同然である。 こうした意識を毎日持っていれば、自然にその方向に向かっていくのだ。

中国に伝わる「気」の教えに「近くよりも遠くを意識すること」というものがある。 近くを意識している人よりも、遠くを意識している人のほうがより強い気が出るというのだ。
これについて、もう少し具体的な説明をしよう。 いま、試しに自分の手を体の前に真っすぐ垂直に差し伸ばしてみてほしい。
このポーズをとったとき、手先よりもずっと先のはるか向こうを意識すると、他人が横から揺さぶってきても、多少のことでは動じなくなる。 逆に、体の近くにしか意識がいっていないと、揺さぶられると、すぐにぐらついてしまうはずだ。
これは、人生においてもいえることである。 つまり、間近のことばかりを気にして、未来については何も考えてない人と、みす五年先、十年先とすっと先の将来を見据えている人では、後者のほうが方向性が明確であり、強い意志が生まれ、心がぐらつかないのである。
いま直面する問題や達成したい目標を一刻も早くクリアするためには、どれだけ先を、見据えることができるかにかかっているのだ。 未来のことばかり考えていても、現実の問題は解決できないという人もいるかもしれない。
もちろん、そうである。 未来だけを見ているだけでは、単なる夢想家でしかない。
「こうしたい」「あんなふうになりたい」というのは誰にでもできる。 しかし、いまという時間を悔いなく生きるには、未来を見つめなければならなし。
問題や目標をクリアするためには、まず自分が目指すゴールはどこで、どんな結果を求めているのかを明確にする必要がある。 つまり、未来から現在に落とし込んで、物事を考えることが大事なのだ。
それができれば、いまやるべきことは具体化してくるはずだ。


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